英和翻訳基本辞典を読み終えて、図書館に返しました。内容が濃く、前回の記事では書ききれていないのでもう一度紹介しますー。 英語を日本語に翻訳する時に落ちた「落とし穴」が実例を通して紹介されています。 実例の多くは、プロの翻訳家が訳した小説を取り上げています。つまり僕らも同様のミスをする可能性は大いにあるわけです。 誤訳を生じやすいパターンとして、大文字で始まってるにもかかわらず固有名詞や慣用表現として訳さず直訳しているもの、慣用句を直訳しているものなどがあります。「そんなのネットで調べればすぐにわかる」と思われるかもしれませんが、納期が近くてそこまでの時間がなく、かつ自分の訳が前後と(何となくでも)つじつまが合っていると、たぶんそのミスは犯します。 例えば、ribbonといえば髪などにつけるものですが、内容によってはワープロのリボン(20代以下の方にはあまりなじみがないかも…)となることもあるわけです。「そんなの間違えないだろ」と思われるかもしれませんが、文章によってはそういう勘違いは起こり得るし、紹介されている実例も、何となく(特に原文と照合できない場合)、問題なく読めてしまうケースもあるのです。このribbonのケースではほとんど違和感がなかったです。 それ以外にも、設定された時代のことを知らないと誤解する表現も紹介されています。 特に僕にも痛々しく感じるのは、歌とか詩から引用しているのに、それを知らずに直訳しているものです。where angels fear to treadは既訳として「天使も踏むを恐れるところ」というものがあるそうです。それをもじったり、そのまま挿入した文章に遭遇したら「天使も踏むを恐れるところ」と訳さないと原作者の意図を汲んでいないことになるわけです。このジャンル、苦手ですわ~。 他にも、誤訳とはいかないまでも、分かりにくい訳例など色々紹介されていますが、どれも明日は我が身という内容ですし、かといって辛辣な批判をしているわけでもなく、時にユーモラスに、ダジャレなども交えながら紹介しています。 どのページから読んでも(見ても)問題ない構成になっていますので、ちょこちょこ見るのもいいです。若干頭を使うので「リラ~~~ックス」(←ニュアンス、分かってもらえるかな?)という感じではないですが、名著には違いないと思います!