wallをウォールと訳してよいのか?

前に受けていた翻訳通信講座で「やはり経験が大事」というコメントがありました。

 

 

言い換えれば、「同じ業界でもクライアントによって好きな言い回しが異なる」ということです。

 

 

当然かもしれませんが、改めて言われて、客商売(しかもサービス業)である以上お客さんの好みにあわせなければいけない現実を強烈に意識しました。

 

 

スーパーに豆腐を納品しているとして、スーパー側から「豆腐はすべてパックから出して陳列するように」と言われたらそうしなければならないわけで…。そういえば沖縄のスーパーでは豆腐がむき出しで売ってたなあ…。

 

 

翻訳で言うと、wallを「壁」と訳すか「ウォール」と訳すかはまさにお客さん次第。これ、実話です。

 

 

「翻訳なんだからそりゃ『壁』でしょ。」と思うかもしれませんが、そのプロジェクト(とか部署とか)の過去の翻訳がすべて「ウォール」だったら勝ち目はありません。ウォールと訳しましょう。

 

 

ただし、つらいのは、文法的にぎりぎりセーフだが非標準な文法が使われたり、それに合わせるように言われることですね。

 

 

たとえばsinceは、「~以来」の意味の場合は主文の前にも後にもおけます。

 

 

Since he was 10 years old, he has worked as an actor.



He has worked as an actor since he was 10 years old.

はどちらもOKです。

 

 

ただし理由を意味する場合、後の文に入れてはダメ(非標準)です。

 

 

Since he is 10 years old, he is not allowed to work in a company.

はOK。

 

He is not allowed to work in a company since he is 10 years old.

はダメ。

 

 

僕は後の文にbecauseを入れたらsinceに修正されたことがあります。ちょっとびっくりしました。

 

 

こういうミスはプロとしてはやっちゃいけないと思うのですが、ネット上は「存在は」するし、お客さんに反論するべきかは迷いますね。クライアントさんの語気にもよりますが(笑)

 

 

最終的にはそのクライアントからの信用が得られてかつ自分としても「根拠のある」実力がついてきたらやんわりと、しかし確実に伝えたいと考えてます。早くそうなりたい〜。


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