悪魔のささやき。
翻訳をしていると、「悪魔のささやき」が聞こえるという話、ピンと来ますか?夏にはいい話かもしれませんね。おお、恐ろしや。 翻訳していると、「この用語の訳を調べたが、カンペキというほどの自信がない。でもまあ意味は通じているし、いいよね」という恐ろしい声が聞こえてきます。しかも耳栓をしても無駄なのです!! 山岡洋一さんの名著「翻訳とは何か」では 翻訳者にはたえず、誘惑の囁きが聞こえる。苦労することはない。もっと気楽に、英文和訳のように訳せばいい。だれも、文句はいわないのだからと。 と言っています。補足説明すると、ここでいう英文和訳は、意味を考えずただ置換している、質の低い翻訳のことです。 それから、例えばenjoy cooking and TVをそのまま訳すと「料理とテレビ」と訳せますが、「料理」はコト名詞(何かをするということ)、「テレビ」はモノ名詞(何かのモノ、物体)なので、たとえこのような英語であっても、日本語にするときは「料理をしたり、テレビを見たり」あるいは「料理やテレビ視聴」のように両者を合わせなければなりません。そのことについて、フェローアカデミーの講師で「できる翻訳者になるためにプロフェッショナル4人が本気で教える翻訳のレッスン」共著者の一人、高橋聡さんはこう言っておられます。 下手な並列くらい、最近のネットを見ればごまんと並んでいます。しかし、みなさんが翻訳で目指すのはそんな日本語ではないはずです。 真面目な話になってしまいますが、これら2つは、本当に心に突き刺さる話です。 用語によってはその会社の人しか分からないこともありますし、担当者が好んで使う用語などがあったら、それはお手上げ、というかコメントを添えて納品することになります。 その確認のために毎回知り合いに相談するわけにもいかず(そもそも守秘義務で無理)、自分と、ネット検索が命綱!で、苦労はしますよね。しかし結局はそういうところで差がつくのではないでしょうか?特に、翻訳会社のチェッカーの方や、お客さんの中でも言葉に敏感な方などは本当の良さが分かるはず!そう思って頑張ります! 幸い、このブログでも紹介しているように世の中にはNgram Viewerなど様々なツールがあります。とにかく、前進あるのみ!